「ノンステップ バス」
今は「ノンステップ バス」とカタカナ表記だが、かつては「non・step bus」と表記されていた。当初は意味が分からなかったが、今は wikipedia に「ノンステップバス(和製英語: Non step Bus)とは、出入口の段差を無くして乗降性を高めた低床バス(low-floor bus)の日本における呼称である[1]。」とある。しかし、如何にも奇妙な英語だ。誰のための用語なのだろう?
- non- は「非」に相当する接頭辞のはず。「無い」ならば non「非」でなく no「無」のはず。
- step は「歩み」や「踏み出し」などの意味のはず。階段ならば step でなく stairs が普通のはず。
- non と step の間にある「・」は、英語で使われることはまずない。単語連結ならばハイフン「-」が普通のはず。
"non-step bus" だと進まないバスの意味になりそうだ。若干改良すると、
no-stair bus
のほうがまだマシだろう。しかし、「無」なら接尾辞の -less を使う方が英語らしいだろう。つまり、
stairless bus
となる。しかし、「階段なしバス」というより、「床が平坦である」ことの方が意味的に重要だろう。そうすると、
flat-floor bus
の方が良いのではないか? しかし、一体、階段の無いバスは誰のためなのだろう? 高齢者を念頭に置いているならば、
平床バス
か
の方が遥かに分かりやすいではないか? はるかに字数が多く、英語的に間違いと言える「ノンステップ バス」と表記する必然性はどこにあるのだろう? (間違った英語でも)英語の方が日本語よりカッコいい、という心理なのだろうか? 高齢者には「低床バス」より「ノンステップ バス」の方が理解しやすく発音しやすいと言えるのだろうか? 私は国粋主義者ではないが、不要な英語化はするべきでないと思っている。
私は、当初は、東京都交通局がこの奇妙な英語を作ったのかと思った。しかし、東京以外でもこの語を見かけるようになって、ひょっとしたら国土交通省の役人が作って旗振りした語ではないかと疑うようになった。もしそうだとすれば、日本国民にも外国人にもためにならない、このような和製英語は是非改めて欲しい。